[電動車いす海外旅行]の続きです。何かヒントになって「行ってみよう」と旅の計画の一助になれば嬉しいです。
新幹線の車椅子席を利用するの場合、一ヶ月前から指定座席を電話で予約することができる。しかし、電動車いすの大きさは、コンパクトなものから大きなものまであって、なかには、介助者と一緒に列車内のどこでどう過ごすの?と、不安な気持ちで先に想像してしまい、この時点で旅行計画がストップしてしまう。かつての私もそうだった。
N七〇〇系新幹線 車いすで旅行したくなる
日本の新幹線車両の進歩は目覚ましく、二〇〇四年頃は、車いす対応席というと車掌室と同じ長方形のボックスタイプで狭かった。電動車椅子で入れないんじゃないか、と初めて見た時のドキドキ感を今でもおぼえている。
N七〇〇系新幹線の登場で、バリアフリー化が一気に進み、多目的トイレと広い多目的室が列車に一部屋あるようになった。しかも電源コンセントまであるのだ。また、その隣の一般車両には、オープン座席の車いす指定スペースがあり、車いす利用者の選択肢が広がったこと、複数人の車椅子利用者が同時に乗車可能になったことは喜ばしいことだ。
多目的室は、一列車に一部屋。
乗車予定日が決まったら、ひと月前から予約ができるので第二希望まで時刻表で調べて早めに予約しておこう。
復路が翌日の場合、翌日がひと月前になるので改めて予約しなければならない。最終列車や祝日と希望が多くなりそうな列車の場合は、行きと帰りの指定予約は二度に分けて確実にとるのが賢明だと思う。
一ヶ月前に座席指定が申し込めるとわかっていても、「あっ 忘れてた!」となってしまいがち。私も希望の「のぞみ」の予約がとれなかったことが何度かあった。特に東京出発の最終と一つ前の新幹線は要地位。
話を電動車いすの旅行に戻そう。
新幹線駅に着いたら先ずみどりの窓口にある障害者用デスクに向かう。
事前に新幹線の多目的室利用を申請した際に、乗車日の支払い
その際、障害者手帳を必ず提示しなければ乗車料金の割引は適用されないから注意。
バッグやカバンをかえて、乗車券購入の時に「アッないっ」てことも。
乗車券を購入したら、つぎは改札へ向かう。
自動改札を通りたくなっても、乗車する時に段差解消ボードの設置が要る人は、係員がいる改札を利用するほうが良いかもしれない。JRの人に(車いす利用)乗車列車を知らせることが大事だからだ。
(車いす利用)の中には、自動改札を通ってホームでJRの人に会うだけで十分と思う人もいるだろう。私もその考え派。しかし、当日ショウアップしない車椅子利用者がいるから「来ました」と乗車予定を伝えることでホーム担当スタッフが確認できるから、仕方ないのかな、とも思う。
そして、改札からホームまで案内は要らないこと、自分たちだけでホームに行くこともハッキリ伝えておく。
旅慣れてくると、JRスタッフの方にも申し訳ない気がして、最低限の介助をお願いするようになるが、東京駅のように秘密の地下道を通る場合はスタッフと一緒にホームに向かうほうがラクなこともある。
ここ数年、広島駅の新幹線エリアは、世界遺産の宮島や原爆ドームを訪れる人達でいっぱいだ。ゴロゴロとキャリ―ケースを押しながらすれ違う人々は、海外から来た観光客がほとんど。聞こえる言語によっては自分がすでに海外にいるかのような錯覚を起こして、海外旅行の始まりを一層エキサイティングなものにしてくれる。
ココがおすすめ
①ホームでJRの人と会うか、
②指定時間に一緒にホームへ行くか、取り決める。
障がい者トイレ、お弁当購入もあるので①ホーム待ち合わせを勧めたい。
●みずほ605号 10:22発 博多11:25着
利用する列車の10
車いす利用者で段差解消ボードが必要な方は、係
今回は、九州新幹線「みずほ」に乗車。
ホームのスタッフから車内の車掌に引き継がれる。
乗車した新幹線の車掌が、多目的室の施錠を解除して案内する際、乗車券を見ながら下車する駅を確認して、再び下りる時に声を掛けられ到着駅のJRスタッフに引き継ぐ…という流れ。
九州新幹線のみずほ車内は、格調高いウッディーなインテリアがウリで、とても素
列車の幅がのぞみより若干小さい感じ
広島から博多まで一時間。買った駅弁(むすびのむさし)をヘルパーの方と一緒に食べていると小倉駅に到着。この小倉駅は、九州の在来線乗り換え乗降客が多い駅で、到着前に席を離れて乗客は出口に向かう。
十年前、福岡経由で韓国の釜山映画祭へ行くとき、あろうことか新幹線の小倉駅で間違って下車してしまったことがある。個室予約がとれなくて、その時は一般車両にある障害指定席でヘルパーさんと旅行予定の話をしていた。停車駅のアナウンスと同時に車両の半分以上が立ち上がったのを見て、ツラれて出口に向かったのだ。
新幹線の扉が開いても、そこにいるはずのJRの人が見当たらない。どういうこと?
「連絡がうまくいってないのか?」
ホームとのすき間はかなりの広い。
段差解消ボードがなければ電動車いすでは
「ホームに降りられないわ。」
困って立ち往生する私達の横を乗客はさっさと下りて行き、電動車いすの私とヘルパーだけになった。
出発のベルが鳴りひびく中、スーツを着た紳士二人が引き返して降りるのを手伝ってくださった。
電動車いすの重さは四十キロ、私の体重や荷物を合わせると百キロ近くになるのに皆で抱えてホームに降りることができ心底ほっとした。(ホント危機一髪!)深く感謝。
「危なかったけど助かったね!」
「本当に良かった」(涙)
ヘルパーさんと心臓のバクバクを鎮めるために無事に脱出できたことを喜び合ったのだが、乗っていた「のぞみ」の女性車掌が窓から上体を出して大きく手を振って「さようなら」しているのが遠くに見えた。
けれど私はまだ何かおかしいとはちっとも思っていない。
ドアが閉まって広島から乗車してきた新幹線は、すぐに視界から消え、誰もいなくなったホームを見ながら、みんな足が速いね、くらいにしか思わなかった。
だが、まぬけで長けたところがない私でも一つだけ自慢できる嗅覚センサーが異常を感知した。香港のニオイに似た博多特有の匂いがしないことに気づいたのだ。おまえは犬か(笑)それでやっと我に返り
「ここは博多じゃない!」
そう、博多の一つ前の小倉駅で降りてしまっていた。
駅のホームにある駅名標識があるところまで行き、目視で「小倉(こくら)」の確認すると、なぜJRの人が出迎えてくれなかったのか、女性車掌が身を乗り出していたのは「ダメ降りてはダメ」の合図を送っていたんだとやっと理解でき、海外渡航前にやらかした大ポカを笑うしかなかった。
博多駅で私たちを出迎え、合流する先輩と一緒に国際線の飛行機に乗って韓国へ行くというのに。なんということ!
この大ポカをやらかして以来、新幹線で小倉駅停車のアナウンスを聞くと「ここで降りてはダメ」と、苦い思い出とともに、いまだに言い聞かせている自分がおかしい。なぜか降りたくなる駅だ、小倉は。
今回、ソウル旅行に同行してくださるルリさんと博多駅で合流して一緒に空港に向かう。二年前の訪韓時は、博多駅から低床バスで国際線ターミナルまで直行したが(約二十五分)今回は、地下鉄を利用し
博多駅 → 低床バス → 福岡国際線ターミナル
博多駅 → 地下鉄 → 福岡国内線ターミナル シャトルバスで国際線へ
博多駅 → 介護タクシー → 福岡国際線ターミナル
国内線の福岡ターミナルがとてもきれい
来年は東京オリンピック。海外からの観光客だけでなく、国内旅行者にも福岡のお土産をショッピングするには買いすぎる規模になっていた。私もつい買っちゃった一人。
・チューブ明太子
・めんべい
・マヨネーズ明太子(瓶詰)
・一蘭ラーメン
韓国の友達にプレゼントするお買い物を済ませて、国際線ターミナルまで移動するバスに乗った。
シャトルバスの乗り方
ターミナル建物を出て、車道の進行方向の一番前側、端っこに停留所がある。電動車いすの場合は、運転手によるスロープ設置の後に乗車するため少し時間がかかって他の乗客に申し訳ない気がする。
国際線ターミナルまで、貨物エリアを通って通常なら約十分ほどで行けそうだが、車いす利用者がいる場合は乗降でプラス八分と思った方がよさそうだ。
国際線ターミナル一階に到着してすること。
一、まず二日前にクロネコメンバーズで空港に送った荷物五個を受け取る。
二、ウェブで申し込んだグローバルWi-
宅急便は往路で申し込んでいても、帰国後に復路用の発送タグを探さなくてすむよう、どこに入れておくか、ルールを決めてしまっておくことが大事。
また、韓国の海苔を買いすぎて荷物が増えることもある。未記入の送り状を一枚もらっておこうと、ルリさんが気をきかせてくれた。
というのも、帰国便の福岡到着の予定時間は夜七時半で、新幹線の乗り継ぎ時間がギリギリだったからだ。帰国後に追加発送の荷物の宛先を書いて送ってる場合じゃないかもしれない。
飛行機の到着も遅れる場合がある。二年前にインチョン空港から帰った時、搭乗口が途中で変わってアナウンスを聞き逃した乗客を待ったため1時間も到着が遅れた。
到着後に私の電動車いすが動かない場合もある。コンテナに搭載され、扱いが最近は良くなったと感じるけれど、フットレストの位置やクッション、コントローラが変わってしまったことがあった。
いろんな想定をすればキリがないが、先にリスク管理しておくと慌てなくてすむし、一般人と違って電動車いす旅行では想定外のハプニングに対処できる余裕をもちたい。
と、偉そうなことを文字にするのは簡単なんだけど、実際は想定以外のことも起き、旅の醍醐味でもある。
二0十九年のソウル旅行の出発がまさにそうで、福岡空港で予期しないことが待ち受けていた。
国際線到着ロビー一階ですることをしたのち、エレベーターで三階にあるアシアナ航空のチェックインカウンター、出発のことはこの後で。