毎週、火曜日と土曜日に、母は体操とリハビリを兼ねた運動をベッドの上で行う。何年か前に腰を圧迫骨折した時からリハビリと筋力アップのために現在の先生に来て頂くようになった。
その先生(鍼灸整骨院)の掛け声が素晴らしい。
お年寄りが「やる気スイッチ」をオンにしたくなるような大きな声で朗らか。
1、2,3… 10、先生のカウント声は、隣の部屋まで聞こえてきて私も手足を動かしたくなるほど気合が入っている。10回ワンセットで片足を上げたり、腰を動かしたり、ハードな運動だ。でも実際は脚は上がっていないと思う(^^♪
御年90歳ですからネ。
火曜日と土曜日に20分弱の運動をするのが習慣になってずいぶん経った頃、母が腰が痛いと言わなくなった事に気がついた。身体の歪みや痛みを筋をほぐすこと、筋力をつけることで治しているのだろう。また、この運動が終わった直後から、いつもはすぐ眠ってしまう母が、言葉がすらすら、しゃべりまくるようになる。テンションが上がっていい感じ。認知症の母とは思えないほど元気で頭が冴え冴え。
加齢により認知が下降線の母を傍で見ながら、時にイラついたり叫びたくなったりもするけれど、現実の母を受け入れてきた私には、時々起こる一見正常な母を見るのは嬉しいことだ。しかし同時に怖くなる。いつまで続くのだろうかと。
高齢者のリハビリ 良いこと
・体を動かすと、酸素が隅々まで行き渡り、体が活性化するのだろう。特に脳が。
・そして他に良いことは、この運動した日あるいは翌日に排便があること。
高齢者の水分補給と排便リズムコントロールは難しい。薬(マグミットなど)を利用したりするが、自然に出るほうがやはり良い。排便コントロールの点からも運動と肺活、横隔膜が上下して腸に刺激を与える母の週2回リハビリは重要なので継続してほしいと思っている。
先週リハビリがあった火曜日に私は友人とランチに出かけ、ついでに桜のお花見(車から見るだけ)に出かけて夕方帰宅した。
その時からすでにおかしかったが、「今日はテンション高いな、そうか、リハビリの日だった。」と納得した。
私が会った友人の名前もスラスラ出てくる!すごいよ母さん〜と思った矢先、私の夕食をとって食べていた@@ 自分が夕食を完食したことすら覚えていない。
ヘルパーの方は、こういう事態に慣れているので、否定せず、どんなにおかしくても上手く母に対応することができる。
認知症は否定しないのが鉄則とのこと。
家族だとつい「もう食べたでしょ」とストレートに言ってしまったりする。さっき出したじゃないのぉとか、今言ったばかり・・等々。(苦笑
自分がどんなに冷静に努めているつもりでも、やはり良い日の母親を基準として対話してしまう娘。難しい。家族の関係が認知症状の対応では邪魔する。介護ヘルパーの方は、他人であり「仕事」するプロなので理性的に対話できる。
今回、母の言う事、する事、支離滅裂で何が起こるかハラハラしっぱなしだった。入れ歯をコーヒーカップに乗せ食器棚にしまうとか、どこからかクリスマスローズの切花を数本手に持ってテーブルにつこうとするので「もとあった花瓶に戻してきて」と言うと、もとあったところが、もう記憶になさそうだった。
私は母にグラスに水を入れて短く切って生けるよう母に口頭で言ってみた。すぐには食器棚のガラスコップには到達できなかったが、時間をかけてなんとか遂行できた。母はずっと生け花をしていたので枯れていない花を活かしたかったのだろう。
時計は夜11時前。
いつもならパソコンを1分でも長く見たいため、できるだけ遅くヘルパーさんに入室してもらいたいと願う私が、この日は今か今かと待ちわびた。母が壊れてしまったこの日は「こんばんは!」のヘルパーさんの声にどれだけホッとしたか。
アリナミンVドリンク
リハビリで身体が温かくなり、脳が活性化して母が快活だったのか。この日は快晴で屋内にいても陽射しが強く感じられた。目から入る光が強く脳が刺激されたのだろうか。概ね快晴の日は 母 のテンションが高く良い感じが多い。しかしこの日は良い感じを通り越していた。何かが違った・・・
考えらることが、他にもう一つあった。
それは、テーブルの真ん中に置いてあったアリナミンV。それもほぼ1ケースが外出前にあったのに当日の夜には半数以下に減っていた。
私は電動車いすを回転させ、テーブルを見ながらバックで部屋を出る。食品置き場にあるはずの栄養ドリンクが食卓にあって不思議に思っていたけど、開けづらいボトルキャップを開けてまでは母は飲まないと思っていた。
誰かに差し上げたのかも…とも考えたが、1日1本のところを、飲んだことを忘れ、つい飲んでしまったのだろう。カフェイン中毒は怖い。私でも栄養ドリンクは眠れないから 夜には飲まないし、太るため避けているのに。
CMに出てくるセリフ「元気いっぱつ」 本当に元気以上!大興奮(汗)日頃の会話さえ不可能となってしまった。あーあそろしい。
サプリメントや危険物を母の目に触れないように箱にしまったことを、家族やヘルパーの方にお伝えしておいた。飲まないと思う、食べないだろうは、認知症には通用しないのだ。
明日はテンションが下がっていますようにと願いながら眠り、翌朝いつも通りの母に戻っていて心底安堵した。