
障害や身体の制約は、AIを使えば「できる形」に変えられます。
株式会社エルギ代表・ケアシフト®提唱者の西本理恵です。
「結局、使いやすい AIってどれですか」という質問を、講座や講演のあとによくいただきます。今日は、要介護5・電動車椅子の私が実際に使い比べてきた経験から、使いやすい AIを選ぶときの3つの視点をお伝えします。
使いやすい AIを選ぶときに迷ってしまう理由
機能の多さと体の状態が噛み合わない
ChatGPT、Claude、Gemini——名前の挙がるAIはどんどん増えています。
私自身も60代からのAI活用について書いた記事でこの3つを比較したことがありますが、機能の一覧だけを見ても「自分に合うかどうか」は分かりません。
関節リウマチで指の力が入りにくい日、電動車椅子で外出中の日、それぞれで「使いやすい」の意味が変わってくるからです。
「みんなが使っているから」で選ぶと続かない
世間で評判のAIをそのまま試して、数日で使わなくなった経験がある方も多いのではないでしょうか。
私も同じでした。使いやすい AIかどうかは、機能の豊富さではなく、自分の体の状態、求めている内容に合っているかどうかで決まる——
そう気づいてから、選び方の基準がはっきりしました。
一方で、AIの進化も各社それぞれです。チャッピーと呼んでいるチャット GPTの有料を解約しようか、迷っていたところ、画像生成がいきなりバージョンアップ。解約をやめました。
使いやすい AIの基準①:声だけで操作が完結するか
指が疲れる日にキーボードを触らずに済むか
私が最初に見る基準は、声だけで最後まで操作できるかどうかです。母の代理でヘルパーさんに連絡するときは、「Hey Siri」でスマホを呼び出してSMSを送っています。
詳しくはHey SiriとSMSの記事に書きましたが、指でボタンを押す動作が一切いらないので、疲れている日でも連絡を後回しにせずに済みます。
スマホの進化も凄まじく、声だけ・話すだけで着信のメッセージを読んでもらえますし、「返信しますか」と最後に聞いてもらえるので操作は一切不要です。
車の運転中とか、何かをしている時に着信の音で「メッセージを読んで」だけで応答してもらえることが本当に便利なことです。
長い文章を作る場面ではどうか
短い連絡はHey Siriで十分ですが、ブログ原稿のようなまとまった文章は勝手が違います。私はClaude Codeに話しかけながら原稿を作る方法を使っていて、「声で操作が完結するか」という基準は、連絡用と文章作成用で別々のツールを持っていてもいいのだと分かりました。
とにかく私は話すことに特化して、どこの会社がストレスがないかだけをまず注意深く比べます。
使いやすい AIの基準②:返事がシンプルで読み切れるか
長い返答は体調が悪い日の負担になる
2つ目の基準は、返ってくる答えの長さと分かりやすさです。
目や体が疲れている日に、画面いっぱいの長文が返ってくると、それを読むこと自体が仕事になってしまいます。
使いやすい AIは、聞いたことに対してまず結論から短く答えてくれるものだと、私は感じています。
聞き方次第で答えの長さは変えられる
もっとも、これはAI側の性質だけでなく、こちらの聞き方でも変わります。「一言でお願いします」と付け加えるだけで、同じAIでも受け取る負担がぐっと軽くなる。
使いやすい AIかどうかは、ツール選びと同時に、自分の聞き方も見直す余地があるということです。
📝 この記事を書いた人
西本 理恵(にしもと りえ)
ウェルビーイングPRプロデューサー/株式会社エルギ代表/ファミリーケアナビ主宰
- 要介護5・関節リウマチ・電動車椅子ユーザー歴 20年以上
- 認知症の母のダブル介護 10年以上
- 介護当事者・情報発信歴 24年以上
- 築100年の古民家を遠隔でバリアフリーリフォーム
「要介護5の私でもできた。あなたにもきっとできる」
使いやすい AIの基準③:無料や低コストで使い続けられるか
経営者として毎日使うからこそコストが気になる
3つ目は、続けられる値段かどうかです。株式会社エルギの代表として、タスク管理や資料作成に日常的にAIを使っていますが、いくつも有料契約を重ねると、体力だけでなく家計への負担も増えます。無料の範囲でどこまでできるかを見極めることも、使いやすい AIを選ぶ大事な視点です。
試してから決める順番を守る
高機能なAIほど有料プランに誘導されがちですが、まずは無料の範囲で1〜2週間使ってみて、自分の生活の中で本当に手が止まる場面が減ったかを確かめてから契約する。この順番を守るようにしています。
実は私、西本理恵にはこれと似た経験があります。介護ヘルパーへの電話対応を頼んでいた頃、名刺や連絡先が増えすぎて、セロハンテープで大きく番号を書いた応急処置だけでは足りなくなったことがありました。そこで導入したのが、くるくる回るインデックス式のアドレスブックです。目的は道具そのものではなく、「どのヘルパーさんが来ても、誰でも同じように選べること」でした。AI選びも同じで、目立つ機能に飛びつくより、自分と周りの人がストレスなく使い続けられる仕組みかどうかを見る方が、結局長く続きます。
まとめ:使いやすい AIは「体の状態」で選んでいい
使いやすい AIに、万人に共通する正解はありません。声だけで操作が完結するか、返事がシンプルで読み切れるか、無料や低コストで続けられるか——この3つの視点で見比べると、自分に合うツールが自然と絞られてきます。
AIはあくまで日々の工夫を助ける道具であり、介護保険制度をはじめとする公的なサービスに代わるものではありません(厚生労働省 介護保険制度の概要も参考にしながら、制度とAIを両方使い分けることをおすすめします)。
まず一つだけ、今使っているAIに「一言で答えて」と話しかけてみてください。それだけでも、使いやすい AIかどうかの感触が変わってくるはずです。人生を自分で開いていく——その一歩は、小さくていいんです。
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