介護保険制度をわかりやすく知りたい——そう思っている方は、実はとても多いと感じています。
「介護保険があるから大丈夫」と思っていても、実際に何が保障されているのか、保険料はいつから払うのか、対象は誰なのか、具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
私も細部にわたって解説することは難しいと思うほど複雑です。3年に1回見直しされて変わりますしね!
私は要介護5として介護保険のお世話になりながら、認知症の母とのダブル介護を14年経験してきた当事者です。今日は、その経験から感じてきた「制度のリアル」を、わかりやすくお伝えします。😊
今は介護に関係ないと思っている方へ、将来の日本の人口増減による介護保険や医療保険に関係するという点だけは持ち帰っていただきたい、と思って記事を書きました。
「介護保険制度、私も使っています」
私は要介護5の電動車椅子ユーザーです。毎朝9時にヘルパーさんが来て、食事・排泄・着替え・リフト移乗を手伝ってもらって、ようやく仕事が始まります。夜中も深夜1時間ほど来てもらっています。
この暮らしが成り立っているのは、介護保険があるからです。本当にありがたい制度だと思っています。
だからこそ、この制度が将来どうなるのかを考えると、他人事じゃないんです。
【書いている人:西本理恵とは】
広島生まれ。関節リウマチにより要介護5、電動車椅子ユーザー。株式会社エルギ代表、ファミリーケアナビ主宰。
1998年に父が脳梗塞で倒れ、「施設ではなく家で看取る」と決断。夜間ヘルパーさんと昼は自分がローテーションし、約1年間の在宅介護ののち、父は家族に見守られながら自宅で静かに旅立ちました。
その後、認知症が進む母みどりさんの介護が始まり、自身も要介護5でありながらダブル介護を14年続けました。多い時は20人のヘルパーさんに関わってもらいながら、遠隔介護という方法で在宅での見取りを実現。
こうした経験をもとに SOERUビジネスプランコンテストで優秀賞を受賞し、遠隔介護・介護マネジメントの情報発信を続けています。
介護保険制度の「対象」と「いつから」——わかりやすく整理しよう
介護保険制度をわかりやすく理解するために、まず基本から整理しておきます。
保険料を払い始めるのは40歳からです。40〜64歳は「第2号被保険者」として、医療保険と一緒に保険料が給与から天引きされます。
サービスを利用できる対象は主に65歳以上(第1号被保険者)。ただし40〜64歳でも、がん末期・初老期認知症など特定の16疾病が原因であれば利用できます。
つまり多くの人にとって「保険料だけ払い続けて、使うのは65歳以降」という制度です。詳しい対象や手続きは厚生労働省 介護保険制度の概要でも確認できます。
そして重要なのは、いつから必要になるかは誰にも分からないということ。私自身、まさか40代でこの制度のお世話になるとは思っていませんでした。だからこそ、若いうちから制度の全体像を知っておくことが大切なんです。
介護保険制度の「当たり前」が、じつは揺らぎ始めている
介護保険制度は2000年にスタートしました。それから25年以上が経ちます。
当時は「画期的な制度だ」と言われました。介護を社会全体で支えるという発想は、本当に素晴らしかったと思います。
でも今、その制度が想定していなかった現実が次々と起きています。
- 訪問介護事業所が存在しない自治体が増えてきた
- ヘルパーが集まらず、サービスを受けられない方が出ている
- 小さな市町村では、介護認定の担当者すら確保できないところも
これ、都市部に住んでいると気づきにくいんですよね。でも地方では、すでに起きていることなんです。老老介護の時代に必要なことという記事でも触れましたが、担い手不足の問題は本当に深刻です。
人口減少が介護保険制度にもたらす二重苦
専門家が指摘しているのは、日本が「人口減少×高齢化×地域偏在」という三重の問題を抱えているということです。
特に深刻なのが、地方の市町村単位で介護保険制度を運営するという仕組みの限界です。
介護保険は「みんなで保険料を出し合って、必要な人が使う」という仕組みです。でも過疎地では、保険料を払える人(現役世代)が減り続ける一方で、給付を受ける人(高齢者)だけが増え続けるという、保険の根本が成り立たない状況になっています。
これは「制度が悪い」というより、人口構造が変わったことによる避けられない現実です。厚生労働省の介護・高齢者福祉ページでも、この課題に向けた最新の取り組みが随時更新されています。
介護保険制度と医療保険——財源がバラバラだとなぜ困る?
もう一つ、専門家の間で議論になっているのが「医療保険と介護保険の財源が別々」という問題です。
- 医療は都道府県・二次医療圏単位で計画
- 介護保険制度は市町村単位で計画
- 財布も別々、計画も別々
これが何を生んでいるかというと、「病院が退院を急かせる(医療費を減らしたい)」「介護施設が医療依存度の高い人を受け入れたがらない(コストが増えるから)」という、制度間の押し付け合いです。
私が母の退院調整をしていたとき、まさにこれを感じました。病院と介護施設の間で、母がボールのように扱われている感覚。誰も悪意があるわけじゃないんです。でも制度の構造がそうさせてしまっている。その頃の経験は認知症の親を介護してわかったことにも書きました。
後期高齢者の医療と介護の財源を統合し、都道府県単位で計画できるようにすれば、「全体として何がベストか」で考えられるようになる。この発想は、実は合理的だと私も思います。
地方の介護保険制度はもっと深刻です
広島で暮らしている私が実感するのは、都市部と地方では「同じ介護保険制度」でも、まったく違う現実があるということです。
私が暮らす広島市内はまだサービスが比較的充実しています。でも、少し車を走らせた先の中山間地域では、ヘルパーが来てくれるかどうかも分からない状況のところがある。
大都市部以外では、医療機関も介護事業所もさらに減っていくことが予想されています。
「老後は田舎でのんびり」と思っている方、少し立ち止まって考えてみてください。その地域に10年後、介護保険制度のサービスは届いていますか?
介護保険制度が不安なら、個人は何をすべき?
こういう話をすると、「じゃあどうしろと?」って思いますよね。私もそう思います(笑)。
でも、今すぐできることはあります。
一つ目は、自分や家族が住む地域の介護資源を確認することです。近くに訪問介護事業所はあるか、ケアマネジャーはいるか、特養の待機状況はどうか。今のうちに把握しておくだけで、いざというときに慌てません。間に合いません!介護は想うこと以上のことが起こるという記事も参考にしてみてください。
二つ目は、介護保険制度に頼り切らない備えを考えることです。介護保険は「すべてを賄える制度」ではありません。自費で補える部分、家族で分担できる部分、テクノロジーで代替できる部分——これを組み合わせる発想が大切です。
三つ目は、制度の変化をウォッチし続けることです。介護保険制度は3年ごとに見直されます。改正のたびに自己負担が増えたり、サービス内容が変わったりします。知っているかどうかで、家族の準備が変わります。
まとめ——介護保険制度を知ることが、最大の備えです
介護保険制度は、今も私の命綱です。これは本当のことです。
でも同時に、その制度が揺らぎ始めていることも事実です。
「まだ大丈夫」「うちには関係ない」と思っているうちに、気づいたときには選択肢がなかった——そんな状況になってほしくないんです。
特に、今まさに介護が始まろうとしている方、「老後をどこで過ごすか」を考えている方には、ぜひ今のうちに介護保険制度の全体像をわかりやすく知っておいていただきたいと思います。
ファミリーケアナビでは、介護保険制度の基本から在宅介護の実践的な情報まで発信しています。難しい制度も、私が当事者として経験してきたことを交えて、わかりやすくお伝えしていきます。
「知っておけばよかった」ではなく、「知っていてよかった」になるように。一緒に学んでいきましょう。😊